名著・日本人の英語 – 英語学習者が絶対に読むべきおすすめ本 その2

英語には、例えば定冠詞のtheと不定冠詞のa(an)の使い分けなど、日本語には無い概念・論理がたくさんあります。

これらは言語体系が大きく違う日本語を母語とする我々日本人英語学習者にはなかなか理解しがたく、皆さん苦しんでいるところかと思います。

日本人の英語は、なんとアメリカ人が「日本語」で書いた英語学習者向けの本です。

この本では、自らが高いレベルで日本語を操り、また日本人が書いた数多くの英文を目にしてきた著者が、英語と日本語の論理構成の違いからくる日本人英語の問題点を取り上げています。

日本人の英語は、1988年に出版された本ですので、もう30年も前に書かれたものということになります。

しかしながら、この本を読むと、残念ながら我々日本人の英語力は30年前からあまり進歩していないんじゃないかと思わされます

かたくるしく英文法を勉強するというよりは、面白い読み物として、日本人英語学習者が一度は読んでおくべき名著です。

中学・高校時代に出会いたかった本のひとつです。

「日本人の英語」を読めば、冠詞への感覚が変わる

試しに手持ちの英和辞書で不定冠詞のa, anを引いてみると、その用例・解説の膨大さに圧倒されます。

(私の持っているウィズダム英和和英辞典では18項目もあります)

そして、このような膨大なルールを読み込んでみても、全部覚えるのはしんどいですし、なかなか正しく使えるようにならないんですよね。

大量に英文を読み込んでいけば、そのうち感覚的に理解できるようになるのかもしれませんが・・・。

この不定冠詞について、この本では以下のような日本人が書いた英文を具体例として挙げ、ネイティブが持つ感覚を説明しています。

Last night, I ate a chicken in the backyard.

昨日の夜に裏庭でバーベキューか何かをして鶏肉を食べた、ということを言いたかった英文です。

この分では、chickenにaを付けてしまったことで、アメリカ人である著者には、一羽の生きている鶏を捕まえてそのまま食べ、血と羽だらけの口元に微笑を浮かべている友人の姿が浮かんでしまったとのこと。

この文を書いた人は、一定の形がイメージできない「鶏肉」を表したかったので、冠詞を付けずにI ate chickenとすれば正しく伝えることができました。

しかし、aをつけてしまったことで、はっきりと1つのものとして識別できる「一羽の鶏」と伝わってしまった、ということです。

自分もまだまだ冠詞をちゃんと使えてなくて、仕事上で書いた英文をネイティブチェックしてもらうと必ずと言っていいほど冠詞を直されるのですが、この本を読む前と後を比べると、直される回数がかなり減りました

うまく説明できませんが、「こういう場合は名詞の前にaをつける」「こっちの場合はtheを付ける」というように個別のルールに従って名詞の前に冠詞を後付けするという感覚から、自分の伝えたいイメージによってaとかtheが先に決まってくるような感覚に変わってきました。

「日本人の英語」には、もっと「英語らしい」英語表現をするためのヒントあり

これは私も非常に思い当たるところがあるのですが、日本語は主語を省略する傾向があります。

そのため、日本語を英訳する際には、日本語に引っ張られて受動態(受身)にしてしまいがちです。

著者によれば、学術論文では、自然科学の論理を客観的な視点から書くべきという観点から、「私は~発見した」というように自分を前面に出すのは好ましくないという歴史的な風潮があったそうです。

(今は随分状況が変わってきたようですが)

しかしながら、それにしても日本人が書く論文には不必要に受動態が多すぎると著者は感じていたようです。

日本人の英語では、このような受動態の多用を含め、日本語原文に引っ張られて不自然な英訳になってしまったたくさんの例文を取り上げながら、それをどのようにしたら、より自然で「英語らしい」英文になるかを解説しています。

中学生レベルの英文法を復習した後、英語感覚を磨くために是非読んでみていただきたい名著です。

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