「いまさら中学レベルなんて・・・」
「中学レベルの英語なんて、英会話ではどうぜ役に立たないでしょ?」
大人の英語学習では疎かにしてしまいがちな「中学英語」。
でも、中学レベルの英語をしっかりと使いこなせれば、実はかなり英会話ができるようになります。
大人のやり直し英語では、いきなりレベルの高い教材に走りがち。
そして、自分の英語力を大きく超えた教材を使うと、
「やっぱり英語は難しい・・・自分には無理!」
と英語学習を挫折してしまう可能性が高まります。
でも、英会話ではやはり最初に基礎をしっかりと身につけることが大事なんですよね。
そして、この基礎の部分にあたるのが、中学レベルの英語です。
この記事では、
- 英文法
- 英単語
この2つの視点から、
なぜ中学生レベルの英語力があれば英会話ができるのか?
をお話します。
1.【英文法】中学生レベルの英文法が使えればかなり英会話で話せる
英会話では、中学レベルの英文法が使いこなせれは十分にコミュニケーションが取れます。
私はTOEIC930点、そして会社の国際部門で働いています。
当然、英語を話さなければならない場面がありますが、ほぼ中学レベルの英文法で足りています。
ミーティングや食事会などで交わされる英会話を思い出してみると、お互いに難しい文法をあまり使っていないんですよね。
例えば、
Our company has over 20 years experience in selling cars.
わが社には、20年以上に渡る自動車販売の経験があります。
これを文法的に解釈すると、
- 基本5文型の第3文型(S+V+O)
- 動詞の現在形
このように、いずれも中学の授業で習ったレベル。
The sales of this product has increased since last year.
この製品の売り上げは昨年から増加しています。
この英文で使われている英文法は現在完了形(have+過去分詞)。
これも中学の授業で習いましたよね。
なんとなく難しいイメージのあるビジネス英会話も、使われている英文法のほとんどは中学生レベルです。
つまり英文法の面では、中学で習う英文法を使いこなせれば十分に英語でのコミュニケーションが可能です。
(もちろん、微妙な心理表現とかは中学レベルではカバーできませんけどね)
2.【英単語】中学レベルの英単語があれば英会話の9割をカバーできる
中学レベルの英単語を使いこなせれば、身の回りの英会話の9割をカバーできます。
以下、ちょっと説明が長くなりますが、きっと英語学習者とっては興味深い話だと思います。
中学で習う英単語の数
まずは、中学の英語の授業で習う英単語の数をみてみます。
文部科学省の「中学校学習指導要領・外国語編」には、中学で指導する英単語の数が書かれています。
この語数、これまでは1200語程度でしたが、2017年に改正があり、現在は以下のようになっています。
- 小学校で600~700語
- 中学校で1600~1800語
合計すると、中学卒業までに2200~2500語を覚えることになりますね。
ただ、この語数が適用されるのはこれから中学で英語を勉強する世代。
この記事を読んでいるあなたは、とっくの昔に中学を卒業しているでしょう。
ですので、この記事では中学で習う英単語数を改正前の1200語として進めます。
中学ではどんな英単語を習う?
文部科学省の学習指導要領では、習う英単語の「数」は定められているものの、実は具体的にどんな英単語を授業で習うかは書かれていません。
そのため、教科書によって登場する英単語にバラツキがあります。
(友達が通っている中学の教科書が自分のものと違う、なんてことがありましたよね)
そこで参考となるのが、神戸大学の石川慎一郎研究室が公開しているJEV1200です。
このJEV1200(Junior High School Level English Vocabulary)は、6つの検定教科書のうち2冊以上で共通的に使われている英単語を抽出してまとめたもの。
つまり、このJEV1200は、中学の授業で習う英単語の標準的なリストと言えます。
下の英単語リストは、JEV1200に掲載されている英単語の一部です。
「中学で習った英単語って、けっこう幅広かったんだな・・・」
と感じたのではないでしょうか。
会話文の9割はわずか722の英単語で成り立っている
もうひとつ、別な英単語のリストを紹介します。
それは、英語学習者にとって最も重要な英単語をリスト化したNGSL(New General Service List)です。
NGSLは、小説・雑誌・テレビ・会話など日常で使われている膨大な英文の中から、使用頻度が高い英単語を抜き出してリスト化したもの。
このNGSLによれば、私たちの身の回りの英語のうち92%は、わずか2800の英単語で成り立っているとのこと。
ここから更に会話文だけに絞ると、使用頻度の高い英単語の数はもっと少なくなり、
わずか722語で会話の90%以上が成り立っている
そうです。
これは、英会話では文章を書くときよりもやさしい英単語が使われる傾向があるためですね。
そして、この722語をリスト化したものがNGSL-S(最後のSはSpoken)。
どんな英単語がこのリストに載っているのか、興味がある人は以下のリンクからご覧ください。
参考 NEW GENERAL SERVICE LIST-SPOKEN 1.2NEW GENERAL SERVICE LIST中学レベル+カタカナ英語で英会話の9割をカバー
ここまで2つの英単語リストを紹介しました。
- JEV1200(中学で習う標準的な英単語リスト)1200語
- NGSL-S(会話で使用頻度が高い英単語リスト)722語
この2のリストに共通して掲載されている英単語の数を調べたところ、その数は579語。
つまり、中学で習う1200語でNGSL-Sの8割をカバーできるという計算になります。
さらにNGSL-Sには、中学では習わないけれど私たちが自然に身につけているカタカナ英語(cost、item、typeなど)もたくさん含まれています。
以上から、
中学レベルの英単語1200語+カタカナ英語を使いこなせれば、私たちの身の回りの英会話で使われる英単語の9割をカバーできるでしょう。
まとめ:ポイントは中学レベルの英語を「使いこなせる」こと
この記事では、
- 中学レベルの英文法が使いこなせれば英会話で十分にコミュニケーションが取れる
- 中学レベルの英単語+カタカナ英語で英会話で使われる英単語の9割をカバーできる
というお話しをしました。
「中学で習う英語なんて実践では使えないでしょ」
「いまさら中学レベルなんて・・・」
と思いがちですが、実は中学レベルの英語でも十分に英会話できるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
ただし、これは知識として覚えていれば良いというわけではありません。
英会話の中で、中学レベルの英文法・英単語をしっかりと使いこなせるようになる必要があります。
野球のルールや用語を知っていても、素振りやキャッチボールといったトレーニングをしなければ、野球はうまくなりませんよね。
英会話もそれと同じで、「知っている」英文法や英単語を「使いこなせる」ようにするトレーニングが大切です。
中学レベルの英語を使いこなせるようになる勉強法については以下の記事に詳しく書いていますので、あわせてお読みいただければ幸いです。
【何から?】一から英語勉強したい人が最初にやるべき3つのコトとおすすめ教材