【洋楽で英語を勉強】要注意!文法が正しいとは限らない

洋楽を使った英語学習には、

  • 曲を歌って英語のリズムや強弱を体に染み込ませる
  • 歌詞を読んで単語や英語表現も身につける

など、メリットがたくさんあります。

 

 

しかし、洋楽での英語学習には、ちょっと気をつけなければならないこともあります。

 

この記事では、洋楽で英語を勉強する際に気をつけるべきポイントについてお話しします。

洋楽には英文法を無視した表現が使われる

結論から言えば、

洋楽の歌詞の中には、英文法を無視した表現がよく使われています。

 

以下、具体的な例をひとつ。

 

三単現のsを無視した「Your Mama Don’t Dance」

1980年代の終盤に登場したアメリカのハードロック・バンド、ポイズン

ド派手なルックスとお祭り騒ぎのようなパフォーマンスで、当時ヒットチャートを賑わせていた、ヘアメタルの代表格です。

 

そして、彼らのヒット曲のひとつ、【Your Mama Don’t Dance】

(正確に言うと、彼らのオリジナル曲ではなく、1970年代のロギンス&メッシーナの曲のカバーですが)

 

この【Your Mama Don’t Dance】、英語のテストだったら確実に減点です

 

主語の「Mama」は三人称単数です。

なので、英文法的には三単現のsを使った「Your Mama Doesn’t Dance」が正解ですよね。

 

この曲がリリースされた当時、私は中学生でしたが、この文法的なおかしさに気づいた時、

ポイズン、文法を間違えた曲を世界にリリースしちゃったよ。やっちまったなあ!

・・・いや待て、ヤツラはアメリカ人だ。

あんなに堂々とYour Mama don’t~って歌ってるし、

間違っているのは俺たちが学校で習っている教科書英語の方なのか?!

と、とても混乱したことを覚えています。

 

英語ネイティブの歌手が英文法を間違えるというのはちょっと考えにくいですよね。

私たちが学校でならわない英語のルールがある、または他に何か理由があって【あえて】英文法を無視した、と考えるのが自然でしょう。

 

では、なぜ【あえて】三単現のsを無視したのか?

 

以下、考えられる3つの理由をお話しします。

 

理由1:歌の主人公は黒人の少年?

ひと口に「英語」と言っても、実際には、国や地域・民族によって、微妙に発音や文法が違います。

そして、なかには三単現のsを使わない英語というのも存在します。

以下の関連記事でも取り上げている黒人英語(AAVE)もそのひとつです。

>>三単現のsを付けなくても正しい?→英語はひとつじゃないらしい

 

AAVEは、African American Vernacular Englishの略。

アフリカ系アメリカ人、つまりアメリカの黒人が話す英語です。

 

音楽では、歌詞に方言などを取り入れることで、その土地の雰囲気、主人公の属性などを表現することがあります。

日本のポップスでも、大阪弁で歌詞を作ったりしますよね?

 

このような方向から考えてみると、

「Your Mama Don’t Dance」の歌の主人公は黒人の少年で、あえて彼らが日常的に話しているAAVEの特徴を取り入れた可能性が考えられます。

 

ただ、この曲を作ったロギンス&メッシーナは白人。

なんだか人種差別的な行為と言われる可能性もありそうで、この説は無さそうな気もしますね・・・。

 

ロギンス&メッシーナ

理由2:曲のメロディに合うから?

WordReferenece.com Language Forums歌の中での「三単現のs」不使用が話題になっていました。

この中に、ただ曲のメロディに合わせるため、という意見が見受けられます。

 

確かに「Your Mama Don’t Dance」をDoesn’tに置き換えてみると、ちょっと歌いにくいですよね。

 

これは、英単語の音節(シラブル)の数が関係しています。

具体的には、

don’t :1音節

doesn’t :2音節【doe・sn’t】

となります。

 

このように、曲作りの際は、歌詞が曲のメロディやリズムに合うように、

英文法の正しさより、言葉のノリの良さ

を優先することが良くあります。

理由3:若者のラフな話し言葉?

同じくWordReferenece.com Language Forumsによれば、

カジュアルな会話では、

【2音節】の単語を、【1音節】の単語に置き換える

ことがあるそうです。

 

これは、考え方としては、上でお話しした「理由2:曲のメロディに合うから」と全く同じで、

Doesn’t(2音節)

Don’t(1音節)

と置き換えた、ということですね。

 

他の三単現のsを無視した曲には、有名どころではイギリス出身のビートルズ「涙の乗車券」があります。

この曲では『She don’t care』という歌詞が使われています。

 

アメリカ・イギリス問わず、特に若者たち間では【ラフな話し言葉】としてこのような置き換えが見られるとのこと。

ですので、この曲の主人公の若さ、ラフな話し言葉の雰囲気を出すために、あえてDon’tを使った可能性が考えられます。

まとめ

洋楽の歌詞によく見られる、英文法を無視した表現。

例えば、【三単現のs】の無視には、

  1. その土地の雰囲気や主人公の属性を表現するため
  2. メロディやリズムに合うように、英文法よりも言葉のノリを優先したため
  3. 若さやラフな話し言葉の雰囲気を出すため

といった理由が考えられます。

 

洋楽を使った英語学習には様々なメリットがあります。

しかし、その歌詞には、

「曲をより魅力的にするために、あえて英文法から外れた表現を使う場合がある」

という点を理解しておく必要があります。

 

特に英語初級〜中級の段階では、

こういった表現に出会った際に「あれ?」と文法的なおかしさに気づければ良いですが、

気づかないと最悪、間違った英文法が身についてしまう恐れがあります。

・・・ちょっと大げさかもしれませんが。

 

 

 

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