三単現の「s」は、私たち英語学習者を苦しめる英語文法のひとつです。
「私はテニスをします」は”I play tennis.”ですが、
「彼はテニスをします」だと”He plays tennis.”になるという、例のアレです。
正式には【三人称単数現在】。
私はこの漢字の羅列を見ただけで腹が立ってきます。
しかしなんと驚くことに、世界には三単現のsを使わない英語がいくつも存在します。
学校のテストで「s」を付け忘れると減点されてきた私たちは、
「アメリカ英語が唯一かつ正しい英語」「正しい文法で話さなければ」
と思いがちです。
でも、
「実は世界には色々な英語がある」
「英語はひとつじゃない」
という事実を知ると、ちょっと気が楽になりませんか?
この記事では、3つの「三単現のsを使わない英語」を紹介したいと思います。
三単現のsを使わない英語
テレビで方言に字幕が付いているように、日本語ですら言葉に結構な幅があります。
これが世界で17億人以上に話されている英語になるとさらに違いの幅があり、私たちが習うのとは違った、独特の英語を使う人たちがたくさんいます。
そして、なんと私たちがさんざん苦しめられた三単現のsを使わない英語というものも存在します。
以下、その例を3つ紹介します。
例1:黒人英語(AAVE)
AAVEは、African American Vernacular Englishの略で、アフリカ系アメリカ人、つまりアメリカの黒人が話す英語です。
黒人英語(こくじんえいご、英:African American Vernacular English)とは、アメリカの黒人の特徴的な英語の話し方で、ピジン言語の一つとされる。
アフリカ人奴隷が奴隷主との英語から学習した際に発展したという説と、言語を異にする奴隷同士がコミュニケーションを図るために英語をもとに発展させたという説がある。
出典:ウィキペディア
文の中に出てくる【ピジン言語】とは、別々の言語を話す人々が、お互いにコミュニケーションを取り合う中でできた別の言語のことだそうです。
このAAVEにはいくつか文法的な特徴があり、三単現のsを使わないのはそのひとつです。
おそらく、彼らがアフリカで元々話していた言語には、三単現のsという概念が無かったのでしょうね。
例2:イギリス東部の方言
イギリスでは、ニュースキャスターなどが話すRP=Received Pronunciationと呼ばれる英語が、標準的なものとされています。
しかし実際のところは、同じイギリス国内でも、地方や階級によって発音や文法にかなりの違いがあります。
そして、そんなイギリス英語の中にも三単現のsを使わない方言があります。
イギリス東部にある【イースト・アングリア地方】。
この地方で話される方言は「East Anglian English」と呼ばれ、いわゆる標準的なイギリス英語(RP)と違った文法的な特徴があります。
三単現のsを使わないのもその特徴のひとつです。
ちなみにイースト・アングリア地方は↓このあたりになります。
例3:シンガポールの英語
シンガポールには4つの公用語があり、英語もそのひとつです。
このシンガポールの英語は【シングリッシュ】と呼ばれ、とても強い癖があります。
そして、上であげたAAVEなどと同じく、三単現のsを使いません。
ちなみにシンガポールの公用語は、英語の他、マレー語、中国語、タミル語です。
かつてシンガポールは、イギリスの植民地でしたので、シングリッシュの大元はイギリス英語ですが、
そこはマレー系、中華系など様々な民族が住んでいる国、
色々な言語の特徴が混ざり、独特でクセの強い英語を生み出したようです。
まとめ
実は、世界には私たちが習う標準的な英語だけでなく様々な英語があり、中には三単現のsを使わない英語というのも存在します。
学校のテストで三単現の「s」を付け忘れると減点されてきた私たちは、「正しい文法で話さなければ」というプレッシャーを強く感じがちですが、
「英語はひとつじゃない」
という事実を知ると、ちょっと気が楽になりませんか?
もちろん、色々な国の人とスムーズにコミュニケーションを取るためには、最も通じやすい国際標準的な英語を目指すべきだと思いますが、
その途上にある私たち英語学習者は、あまり細かいことを気にせず、どんどん英語を話すことが大切なのではないかと思います。
まったく同感です。
初学の日本人中学生に対して、三人称単数現在のSを強要することにどれほどの意味があるのでしょうか。まずはコミュニケーション手段として使えることを優先させるべきだと考えます。形を整えるのはそのあとでいいはずです。
コメントありがとうございます!
おっしゃるとおり、子供たちにはまず、多少文法を間違えたとしても「僕、英語で他の国の人と話ができた!」「私の英語が通じた!」といった、英語でコミュニケーションすることの喜びや成功体験を味わってほしいなと思います。