あらかじめ録音された音源に合わせて口を動かして、いかにもその場で生で歌っているように見せる口パク。
この口パク、日本だけでなく海外の大物歌手ですら「口の動きと音源がズレて口パクがばれちゃった」なんていう話を聞きます。
エンターテイメント界では常識となっている口パクですが、
過去にはこの口パクが、音楽業界を激震させる大事件に発展しました。
この記事では、
- 音楽業界が激震した仰天の口パクスキャンダル
- 仰天のその後の展開
をお送りします。
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ミリ・バニリの仰天!口パクスキャンダル
1988年に西ドイツからデビューした2人組、ミリ・バニリ(Milli Vanilli)。
ミリ・バニリは、当時としてはまだ新しかったラップを取り入れたポップかつダンサブルな曲で、デビュー直後から世界的なヒットを連発。
瞬く間に大スターとなった彼らは、1990年、グラミー賞の最優秀新人賞を受賞しました。
しかしこの後、【口パク】が原因でこのグラミー賞を剥奪されてしまいます。
エンターテイメント界では常識の口パク、
なのに、なぜ彼らがグラミー賞を剥奪されなければならない程の大事件に発展したのか?
ミリ・バニリは、ステージ上だけでなく、
実はレコーディングでも全く歌っていませんでした。
つまり、CD歌声も、彼らではない全くの別人、「影武者」のものだったということです。
この事件は、日本のテレビでも大スキャンダルとして取り上げられていたと記憶しています。
口パク事件の経緯
ある音楽プロデューサーが、新たなグループ結成のため歌手を集めていました。
しかし、オーディションで集められた彼らは、「歌はウマイ」けれど「華」がない。
売れるためには「華」が必要だと思ったこのプロデューサーは、
- 表舞台(CDジャケットやプロモーションビデオ)にはルックスが良くカリスマ性のある2人の別人を登場させ
- 「華」はないが「歌はウマイ」歌手達を「影武者」として歌わせる
という荒業に出ます。
元モデル&ダンサーの2人を表に登場させ、このようにして売り出したミリ・ヴァニリ。
ポップでダンサブルな曲、そしてカリスマ的なルックスから、プロデューサーの思惑どおりデビュー直後から世界的な大ヒットを連発し、1990年、グラミー賞の最優秀新人賞を受賞します。
しかし、やはりこのような歪んだやり方は長くは続きません。
こんなやり方に不満を募らせたミリ・ヴァニリの2人(歌っていない方)は、プロデューサーと激しく対立するようになります。
そして、遂にはプロデューサー自ら影武者の存在を世間に暴露。
音楽業界に激震が走ります。
最終的にミリ・ヴァニリは、グラミー賞を剥奪され、CDは廃盤、音楽界から姿を消すこととなりました。
この口パク事件が起こった当時のミリ・ヴァニリの2人は20歳と22歳。
デビューしたその2年前は18歳と20歳でしょうか。
まだ若かった2人は、とにかくヒット曲を求めるプロデューサーやレコード会社の言いなりだったことでしょう。
ミリ・ヴァニリの2人は、「産業化された音楽界の犠牲者」と言えます。
口パク事件後の仰天の展開
この仰天の口パク大騒動は、その後も仰天の展開をたどります。
「影武者」たちのデビュー
Discogsまずは「影武者」として実際に歌っていた方。
なんと、リアル・ミリ・バニリ(Real Milli Vanilli)としてデビューします。
影武者を「やらされていた」リアル・ミリ・バニリのデビューは、世間から好意的に受け止められ、そこそこの成功を収めます。
口パク2人も再デビュー
そして、歌っていなかった口パクの2人。
- ロブ・ピラトゥス
- ファブリス・モーヴァン
この2人も、彼らの名前を冠したユニット「ロブ&ファブ」として再デビューします。
この時、ロブ&ファブは、アメリカに拠点を移して再起を図りました。
しかし、予算の制約から思ったプロモーション活動ができなかったため、リリースしたシングル『We Can Get It On』は不発。
また、アルバム「Rob & Fab」の売り上げ枚数もアメリカで2,000枚程度と、残念ながら商業的成功は得られませんでした。
その後、思ったような成功を収められたかったためか、2人の仲は険悪となり、ロブ&ファブは解散します。
ミリ・バニリ再デビュー?
しかしその後、ミリ・バニリの口パク事件の首謀者だったあのプロデューサーは、どういう風の吹き回しか、口パクのロブ&ファブの2人を、ミリ・バニリとして再デビューさせようと動き出します。
そして、1998年、いよいよ復帰という時に事件は起こります。
復帰作のプロモーション活動開始の前日。
口パクの1人、ロブ・ピラトゥスが、ドラッグの過剰摂取で亡くなります。
ロブが亡くなったことで、ミリ・バニリの復活は実現せずに終わりました。
【実は歌がうまかった】ファブのソロデビュー
しかしまた驚くことに、2003年、残された口パクのファブリス・モーヴァンがソロ・アーティストとして再デビューを遂げます。
ソロ・デビューアルバム「Love Revolution」には、亡くなったかつての盟友、ロブに捧げる『It’s Your Life』が収録されています。
そして、ファブリスが、ミリ・ヴァニリ時代の大ヒット曲「Girl You Know It’s True」を一人で歌う姿をYouTubeで見ることができますが、
彼、そもそも口パクする必要なんか無かったよね?!
と思うほど、実は歌がうまいです。
これくらい歌えるファブにとって、ミリ・バニリでの口パクは、本当に不本意だったのではないでしょうか。
また、このファブが、ミリバニリの「影武者」のひとりジョン・デイビスと、一緒にステージでミリバニリのヒット曲を歌っている動画も見ることができます。
事件から約30年、時間の経過が、当時のわだかまりや色々なことを解決してくれたんでしょうか。
以上、音楽業界を激震させた、ミリバニリの『仰天』口パクスキャンダル、そしてその後の『仰天』展開でした。
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