女性の敬称「Miss.」と「Mrs.」。
私たちオヤジ世代は、中学校の英語の授業で
- Miss. → 未婚の女性に使う敬称
- Mrs. → 既婚の女性に使う敬称
と習いましたよね。
「男の敬称はMr.ひとつなのに、なぜ女は未婚・既婚で使い分けなきゃならないの?」
「その人が未婚か既婚か判らない時どうするの?」
あなたも当時、きっとこのような疑問を持ったはずです。
しかし、気付いてみればいつの間にか、未婚・既婚の両方に使える「Ms.」という便利な敬称が一般的になっていました。
現役中学生の娘が使っている英語の教科書によると、
- Mr./Ms.
- 相手の姓やフルネームの前にMr.(男性)/Ms.(女性)をつけると、「~さん; ~先生」と敬意を表す表現になる。
- ※女性にはMiss(未婚)やMrs.(既婚)を用いる場合もあるが、その区別を避けるため、Ms.を使うことが多い。
引用元:Z会 NEW TREASURE ENGLISH SERIES STAGE1 SECOND EDITION
今は、女性の敬称はMs.が標準と教えられているんですね。
娘の話では、
「MissとMrs.? 知ってるけど使わないよ」
「英語の授業で先生を呼ぶ時も『Ms.○○』って呼んでるし」
とのこと。
ちなみにこの「Ms.」、英語学習者向けの英英辞書『ロングマン現代英英辞典』では、以下のとおり説明されています。
used before a woman’s family name when she does not want to be called ‘Mrs’ or ‘Miss’, or when you do not know whether she is married or not
女性がMrsやMissと呼ばれたくない時、または女性が結婚しているかどうかわからないときに使う、となっていますね。
>>英英辞典のメリット|英語学習初心者にオススメなのはコレ!
今ではすっかり定着しているこの「Ms.」という女性の敬称ですが、
私が中学時代を過ごした1980年代後半は、まだまだ馴染みが薄かったはず。
このMs.という敬称は、いつ生まれたんでしょうか?
Ms.が普及したのは1970年代
名古屋工業大学・石川由香教授の論文によると、
Ms.は1932年頃からビジネスの現場で使われていた
という報告があるそうです。
【外部リンク】「各種ガイドラインおよび高校英語教科書に見る敬称の問題」
しかし、このMs.が市民権を得たのは、それから数十年が経った1970年代。
当時活発だった女性解放運動の中で、
なぜ女性だけ未婚・既婚をバラされなきゃなんないの?
と、以前から『存在はしていた』このMs.にスポットライトが当てられ、
- 1972年 辞書に掲載
- 1973年 国連で女性の敬称として正式に採用
という経緯を辿って、世界に定着していきます。
つまり、Ms.が一般化してからまだ半世紀も経っていないということになります。
未婚か既婚かを気にせずにコミュニケーションできる便利な敬称「Ms.」。
意外にもその歴史は浅いものでした。